デジタル業界はテレワークと親和性がある仕事と思われがちですが、かつてアメリカのIBMとYahooは、コミュニケーション不足等を理由にテレワークを廃止していました。このことはソフトウェア開発においてもテレワークで行うのは簡単ではないということを物語っています。ヴェスでもソフトウェア開発を行う企業から「テレワークが長く続いたため、テストが進んでいない」というご相談を多くいただくようになりました。
うまくいかない大きな理由としては、遠隔からテスト環境に接続しにくいという問題があります。開発担当者は自身の端末に開発環境を構築しているため、テレワークでも開発作業がしやすいと言えます。それに対してテスト担当者は、社内にあるテストサーバーを使ってテストを行います。テレワークの場合は、テストサーバーの環境を使うために作業場所から社内のネットワークに接続する必要があります。そのため接続までの手順が複雑でうまく接続できない、会社や自宅の回線が細く、動作が遅くなる、という問題が発生し、その結果テストスケジュールが遅延する、といった問題が発生しています。
またテスト担当者のコントロールも難しくなります。テストチームほど、声をかけあってその場その場で解決していく仕事もないかもしれません。テストケースのドキュメントに曖昧な点がある時、起きている現象が不具合なのか迷う時、その場にいるメンバーと認識を合わせるということを日常的に行っており、テレワークが長引くと認識の齟齬が生まれます。また管理者は進捗をこまめに確認し、テストケースの担当を臨機応変に割り振りながら効率化しますが、担当者がバラバラの場所で作業をするとアサインや進捗の確認も煩雑になり、管理工数が増大します。