タブレット型PCや、スマートフォンに代表される新たなモバイルデバイスの普及など、ユビキタス社会の促進により、特にコンシューマ向けSaaSアプリケーションは、多種多様なサービス提供を可能とする重要な役割を担っている。
こうした状況の中、コンシューマの要件はますます高度化し、サービス提供者の過当競争を生み出すことに。結果として、アプリケーション開発の環境をよりシビアにする要因にもなっている。「開発期間が軒並み短縮傾向にある中で、いかに品質確保と向上を図っていくか─」これは多くのシステム開発者が直面している難問だろう。
こうして同社は、テスト効率の改善および的確な不具合個所の特定により、無事新たなアプリケーション・サービスをリリース。その後も前回のような不具合は報告されず、開発部門のスタッフを安堵させました。短納期の中で、高品質なシステム開発を実現させたのです。
今回の一連の取り組みは、同社にさまざまな示唆を与えたと言います。その一つが、テスト工程への柔軟なアプローチです。
「仕様が明確でない段階でも、テストの“観点”を明確にすることで不明確な部分を補うことができることは、厳しい短納期要求の中で大きな味方になってくれます。必要なテスト工数を確保するための方法を知れたことは非常に有意義でした」(アプリケーション開発部W氏)
またヴェスは、仕様の不整合や不具合再発などは、同社の組織的な体制に原因があると分析し、レポートしました。
「部署間の連携が不十分で案件に対する情報共有ができていないことや、品質の定義が曖昧で明確な基準がないことなど、マネジメント部分の欠陥を多く指摘されました。リソースを増やしても不具合が再発した理由はここにあったわけです。耳の痛い話ばかりでしたが、事実、ユーザを“試験台”にしていたのと一緒ですから。これからは何よりもユーザの手元に不具合を届けないため、常に品質改善を図っていきたいと考えています」(前出U氏)