システム設計・開発ベンダD社 不具合頻発で、「ユーザが試験台」のよう!短納期での品質低下の要因は、リソースではなく“仕様の不整合”にあった?

背景

タブレット型PCや、スマートフォンに代表される新たなモバイルデバイスの普及など、ユビキタス社会の促進により、特にコンシューマ向けSaaSアプリケーションは、多種多様なサービス提供を可能とする重要な役割を担っている。

こうした状況の中、コンシューマの要件はますます高度化し、サービス提供者の過当競争を生み出すことに。結果として、アプリケーション開発の環境をよりシビアにする要因にもなっている。「開発期間が軒並み短縮傾向にある中で、いかに品質確保と向上を図っていくか─」これは多くのシステム開発者が直面している難問だろう。

課題・問題

苛烈さを増す“短納期”要求で、“品質確保”との両立が困難・・・

画像コンシューマ向けSaaSアプリケーションおよびシステムの設計・開発を行うD社は、インターネット・プロバイダや各種サービス・プロバイダなどから、月額有料課金サービスや通販サービス、会員制ポータル・サービスなどの設計・開発を受託しているベンダ。その領域は、Webシステムに代表されるユーザに最も近いフロントエンド・システムから、各種データベース、eコマース、ロボットエンジン、バッチ処理などのバックエンド・システムまで、広範をカバーしています。

この中で、とある取引先のプロバイダが提供するポータル・サービスのフロントエンド・システムは、同社の悩みの種となっていました。というのも、サービスリリースのサイクルが非常に早く、“品質確保”との両立が難しくなっていたのです。中には、1ヶ月しかない開発プロジェクトもあるほど。
ポータル・サービスのフロントエンド・システムは、不特定多数のユーザにインフラ的な利用をされる部分なだけに、リリース後の不具合発生は許されません。本来であれば、品質確保のために綿密なテスト工程が必要ですが、厳しい“短納期”要求に応えるため、多くの場合、満足のいくレベルで実施できていないのが現状でした。

繰り返される不具合発生の要因は「リソースではない」?検証ノウハウ自体の欠如を懸念

そのような折に、危惧していた事態が発生。新たにリリースしたサービスにおいて不具合が発覚したのです。ユーザが当たり前に操作する動作の中に未検証の部分があり、不具合はそこに潜んでいました。同社技術本部アプリケーション開発部のU部長はこう語っています。

「当社はわずか50人のエンジニア集団。開発者はいますが検証専門リソースの確保は容易ではありません。これまでは自分たちだけで何とかテストを実施してきましたが、ユーザに簡単に見つけられるような不具合を出してしまったことは大きなショックでした。不具合の修正に大きな労力とコストを費やす事態になっただけでなく、取引先のサービスにとって大きなイメージダウンを引き起こしてしまいました」

この後同社では、取引先プロバイダからの要求もあり、テスト工程を万全にするため派遣のテスターを利用することに。しかし、あろうことか、次の案件においてもまた不具合が発覚してしまったのです。

同社の開発現場からは、リソースもさることながら「検証ノウハウ自体」の欠如を憂慮する声も挙がり、U氏らはテスト工程の早急な見直しを迫られることになったのです。

課題・問題のポイント

  • “短納期”要求でテストが満足に実施できず、“品質確保”との両立が困難

  • リソース不足から派遣テスターを利用するも、不具合を止められず

  • 「検証ノウハウ自体」の欠如が懸念され、テスト工程の早急な見直しが必要

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