デジタルAVCメーカーC社 開発難易度を押し上げる、ネットワークTVの「相互接続」。“予期せぬ”不具合リスクを、限られたコスト・リソース・時間で解決するには?

背景

「ものづくり大国」、「技術大国」と呼ばれて久しい日本だが、もはや製品スペックだけではユーザニーズの獲得が難しくなっているのも事実である。
そのため近年は、“ある主力デバイスにあらゆる機能を搭載”、もしくは“デバイス同士を相互接続”させる製品コンセプトにより、マーケットの囲い込みを狙う戦略が目立つようになっている。

ただし、前者はオールインワンの利便性の反面、スペック過多による高価格化や、ある機能の不具合が製品全体に影響を及ぼすなどのデメリットにより、ユーザに敬遠される節もある。そこで、通信技術の発達を背景に昨今目立つのが後者である。
しかし、相互接続となると自社・他社製品を問わず不具合が生じるリスクは非常に高く、メーカーにとっては製品開発の難易度を押し上げる要因ともなっている・・・。

課題・問題

「解像技術は購買に直結しない」?“相互接続”に注力するも、思わぬ不具合の要因に・・・

画像各種家電から情報通信機器の製造および関連技術・サービス開発などを手がけるC社は、競争の激しいデジタルTVの市場で一定のシェアを持っています。2011年7月のアナログ放送終了までは、地デジ化への追い込み需要から販売台数が順調に推移すると想定され、実際そのとおりとなりました。
しかし、その後はデジタルTVの市場が飽和状態となることが容易に想像される上、厳しい競争を背景に各メーカーがさまざまな機能性を打ち出す中で、製品技術も頭打ち状態となっていました。

中でも顕著だったのが映像技術。各社はより美しく、より高度な解像度を追及し、独自技術による高い精細性・色再現性、低ノイズ性をアピールしています。しかし実際のところ、一定のレベルを超えてしまうと、その解像度の違いはユーザには判別できません。つまり高い性能は必ずしも購買動機には直結せず、「開発側の自己満足」になりかねませんでした。

こうした背景から、“真にユーザが求める”製品について試行錯誤していた同社は、TVとデジタル機器をシームレスに相互接続させる製品開発に注力し、自社/他社製品(DVD/BLプレーヤー、PC/ストレージ、デジカメ、携帯、オンデマンドサービス配信など)をネットワークまたはHDMI経由で相互接続させる「ネットワークTV」を、少し前のモデルより採用していました。

しかし、こうした相互接続には開発者にとって思わぬ不具合がついて回り、しばしばクレーム・返品の要因となっていたのも事実でした。次期モデル開発を控えていた同社は、その原因究明と改善対策に追われることに。

縦割り構造による、事業部ごとの個別の検証プロセスが弊害に・・・

ここでクローズアップされたのが、同社内のQA(品質保証)プロセスでした。製品ごとの事業部制を採択している同社では、各事業部に開発部門および検証部門を設けていました。
同社テレビ事業部技術部長のT氏は、「この“縦割り構造”が、不具合のネックとなっていた」と語り、さらにこう述べています。

「相互接続については各事業部で個別に検証されていましたが、一口に開発・検証といっても、製品が変わってしまうと求められる技術知識・スキルが異なるため、自社製品同士とはいえ、その検証性は十分とは言えませんでした。ましてや、他社製品・サービスとの接続となると、検証作業はさらに困難を極めました」

当然、各事業部ではデジタル機器の標準規格「DLNA」のガイドラインに対応した製品を開発していましたが、このガイドラインには課題も多く、そもそも規格がゆるいため、基準を満たしたからといって確実に接続できるとは限りません。

「あらゆるユーザケースを想定した上での接続性を実現するためには、事業部ごとではなく“社内横断的”な検証プロセスが必要でした。しかし、コストもリソースも時間的余裕もない中で、自社ですべてを解決することは到底無理と言わざるを得ませんでした」(前出T氏)

課題・問題のポイント

  • 「ネットワークTV」の次期モデル開発に向けて、“相互接続”における不具合発生が課題

  • 事業部ごとの縦割り構造の個別検証プロセスが、不安定なデバイス接続の要因に

  • コスト、リソース、時間的問題から自社内で横断的な検証を行うことは不可能

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