ユーザビリティ検証サービス 

電気機器メーカーB社

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次期モデル成功の決め手は、「ユーザの生の声」に即した操作性改善に─。

課題・問題のポイント
  • 次期モデル開発にあたり、頭打ちの製品スペックに代わる決め手として「ユーザビリティ強化」が必要
  • 自社QAで検証するも、客観的視点や具体的根拠に欠けるとしてプロジェクトが中断
  • ユーザの“生の声”を求めるも、自社でモニター検証を実施するにはコスト・リソースおよびノウハウが不足
解決のポイント
  1. 第三者検証専門会社による“ユーザビリティ検証”により、日常に即した製品開発で市場の好評価獲得に成功
  2. 「ユーザ評価」を通じた“ユーザの生の声”の把握により、自社QAでは気づかなかった多くの操作性改善のポイントが明らかに
  3. 第三者検証ならではの専門的視点による“ヒューリスティック評価”により、仕様変更の根拠を明確化

背景

製品の開発競争が激化する中、「ユーザ評価の獲得」は市場で優位に立つ上での必須条件となっている。ものづくり大国・日本において“壊れない”“不具合が起きない”高性能さはもはや当然であり、むしろ性能よりも“いかに使いやすいか”がユーザの満足度を得るための重要なファクターとなっているのである。
しかし、この当たり前に思える「ユーザビリティ」は、意外と見過ごされがちでもある。開発者の視点に立ってみると、どうしても性能追求型で製品スペックへと偏ってしまう、またはユーザ視点の把握が困難、といった問題が垣間見える。

しかし、このようなギャップを抱えていると、しばしば開発工程の中で手戻りが発生し、開発現場をムダに疲弊させるばかりか、開発リードタイムを長引かせる原因ともなる。下手をするとリコールにもつながりかねない。いま求められているのは、真に「ユーザ視点に立った」製品開発だが・・・。

検証項目の一例

・メモリカードのデータをトリミングし、L判写真をプリント
間違えて「写真を焼き増し」キー(スキャナーで取り込んだ写真をコピーする機能)を押してしまう例がシニア層を中心に続出。年配者にとっては、“写真の印刷”イコール“焼き増し”と捉えられる。また、写真トリミング用の「便利機能」の存在は多くのユーザが認知しておらず、現行モデルの問題点は改善されていない

・A4モノクロ/カラーでコピー
“濃淡設定”はすべてのユーザがスムーズに実行でき、この部分は改善されている。しかし、“コピー開始”のためのキーを「OK」と思い込むユーザは相変わらずおり、改善には至っていない。また用紙セット時の「合わせ位置」の見づらさも指摘される

・その他
タスクに関係なく、画質を決定する際の、「標準」「はやい」「ファイン」という選択肢が、画質および印刷速度のイメージと結び付けられない例が、プリンタ経験の浅いユーザに複数見られた

「▽」ボタンを、“次へ移動”と考えて操作するユーザ(高校生男女)が見られた。携帯電話の影響で、「上下」が方向を表すものではなく、項目の移動を表すものと考えている

“ユーザの生の声”を通してみえた、技術者視点では気づけなかった優位点と改善点

B社複合機に対する、ユーザの声の一例

次に、ヴェスは被験者に行ったアンケートや座談会、およびテスト中に出たさまざまな意見から、B社プロトタイプと競合他社製品の比較を行いました。
総合的にみると、プロトタイプのUI(ユーザインターフェース)については、多くのユーザが高く評価しており、競合他社と比較しても差別化に成功していると判断できました。また、それゆえにイメージと操作性ギャップの検証結果としては、他社製品ユーザは幾分戸惑いを感じたケースもありましたが、初心者はフラットな感覚から自己学習するので、逆に操作性の良さをスムーズに実感できたようです。

  • 「いかにも、技術の人がつくったものだなと感じる」(40代男性)

  • 「こんなに機能がついていて使うのかな?もっとシンプルでいいのでは」(50代男性)

  • 「現行モデルを使用しているが、こんなに色々できるとは知らなかった」(30代女性)

  • 「ナビ機能のおかげで、初めてでも非常に使いやすかった」(40代女性)


「アンケート結果をみたときは、非常に興奮したのを覚えています。自分たちが設計/開発しているのだから、分からないことなんてない。そう思っていましたがまったくの誤りでしたね。良い意見も悪い意見も、こちらの予想外のコメントが数多く寄せられ、まさに目からうろこの思いです」
こう語るのは、同社コンシューマ事業部 設計/開発部 設計チーム プリンシパルのO氏。

これらはまさに同社が欲していた、“ユーザの生の声”であり、一般ユーザのニーズに直に接する機会のないメーカーにとって、次期モデルの改善点を洗い出す貴重な資産になったといいます。
「ヒューリスティック検証」で専門的な視点からの改善提案を実施。市場の好評価の獲得に成功!

そして、ヴェスではユーザの操作を通じて得られた検証結果をスコアリングするとともに、第三者検証会社としての専門的な視点から“ヒューリスティック評価”も実施。この評価に際しては、ヴェス独自の「ユーザビリティ検証観点ツリー」を用い、その各ファクターに対して、発生した問題の原因の特定、および改善策についての提案を行いました。

【問題・現象】ユーザの多くがキーの選択で戸惑う

  • 原因:

    「写真の印刷」、「写真の焼き増し」や「OK」、「開始」など、操作を分かりやすくしようと用いられた言葉がかえって操作性を阻害している

  • 改善策提案:

    操作のカテゴリを明確化するためにアイコンなどビジュアル面での工夫が必要

【問題・現象】「便利機能」はほとんど使われず

  • 原因:

    機能面では十分に競合他社への差別化要素を持っているが、メニューの階層が深いことと、便利機能で実現できる操作の紐づけが難しい

  • 改善策提案:

    操作の早い段階、もしくはナビゲーションなどでユーザに機能を認知させる仕組みが必要

上記は評価の一例ですが、B社プロトタイプの検証結果は、「ユーザ評価」「ヒューリスティック評価」合わせて100ページにおよぶ検証レポートで詳細に解説され、B社上層部からもユーザビリティ改善のための“明確な根拠”として評価されました。

こうして、B社は今回の検証プロジェクトで得られた評価結果を元に、新たに次期モデルのリデザインを開始。そして満を持してリリースされた新ラインナップは、ユーザ視点に配慮した使いやすい機種として市場からも好評を得、ブランド力の拡大に成功しました。またユーザからの問い合わせ件数が減少し、CSコストも大きく削減できたといいます。前出S氏は今回の「ユーザビリティ検証」についてこう総括します。

「今回のトライアルを通じて、第三者検証による「ユーザビリティ検証」の重要性を痛感したのが正直なところです。もちろん期待はしていましたが、開発者視点では決して気づけない問題が次々と明らかになり、貴重な生の声を通して、真に“ユーザの日常に即した”製品がリリースできたと思います。今後はMFPだけでなく、その他の製品開発においても「ユーザビリティ検証」の導入を進めていきたいと考えています」

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